野良爺風伝録

鈴鹿山脈の東麓で、薬草と機能性野菜の栽培に取り組む、気儘なオヤジの世迷言

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初陣2

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そこには「ブルブルブル」と声を震わせて威嚇する猪の姿があった。
更に近づくと突進してきたが、前足にはしっかりと罠が食い込み、僅かにワイヤーを引っ張っただけである。1m程の、未だ幼さが残る面構えだが、間違いなく猪だ。
 
 ちょっと待って、心の準備が出来てない! 確かに猪を捕まえる為に罠を仕掛けたが、こんなにも早く掛かるとは思っていなかった。
どうする、助けを呼ぶか? 予期せぬ獲物にオタオタする自分が恥かしい。
ともかく逃げられないようにしようと、背中のバッグを下ろし、中からザイルを取り出してワッカを作り、近くにあった矢竹を切って先にザイルを挟み、もう一つ足を括ろうと差し出す。
 猪はコノヤロウとばかりにザイルに噛み付き、動き回って足を捕らえられない。何度か試みている間に動き回る猪は立木にワイヤーを掛けて動きがより小さくなった。
 「よし、これなら槍で刺せる」釣ケースから槍を取り出して組立て、利八の鞘を払った。槍を構えてゆっくりと間合いを詰めるや「エィッ」と、小さく声を発して心臓目掛けて槍を繰り出す。ズブッ、両手に生身の身体を突き刺す気色の悪い手ごたえを感じるのと「ブギャー」と悲鳴を聞くのが同じだったが、心臓を外したようなので素早く二の槍を突き出すと「ギャー」と断末魔の叫びを発して猪は動きを止めた。すかさず剣鉈を喉に突き立てて頚動脈を絶ち切る。
 
 ワイヤーを木から外して、下の道まで猪を引き下ろす。初めての獲物だ、熊谷達也のマタギ小説を真似て、大きくは無いがしっかりした声で「ショーブ」と叫んだ(^_^)
しかし、心には勝利の喜びではなく、何故か寂寥感が漂う。田畑に害成す猪と言えど、その命を絶つ事には言い知れぬ苦味を感じる物だ。
 感傷に耽る間もなく、更なる残虐行為を開始だ。剣鉈で腹を割き、内蔵を出さねばならない。ゴム手袋を通して感じる肝や腸の生温かさは正直なところ気持ちが悪いが、これを取り出さないと肉が焼けると言って、内蔵が腐敗して温度が上がり、肉を不味くしてしまう。命を絶った以上は、最高の条件で味わうと言うのが、獲物への礼儀だろう。
 
 剣鉈で近くの山を掘り、取り出した内臓を埋める。こうしておいても動物が掘り起こしてしまい、今夜は野獣達の宴があるはずだ。
内蔵を取り出した猪は冷やすために近くの小川に漬けて、更に別の罠の確認にと向かう。それ程美味しい事が続くわけは無く何れの罠にも獲物の姿は無かったが、畑の際に仕掛けた罠は空打をしており、何かの足を捕らえようとしたが、逃げられたようだ。
 ともかく半信半疑であったが、自分が作った罠で猪が掛かる事は実証された。次はより掛かり易い仕掛け方法の研究である。山ノ神にお礼のお参りをしたあと、獲物と共に家路を急いだ。
 
 今朝は朝から猪の解体。むろん生まれて始めてである。なかなか難しく、終わったのは3時過ぎになってしまった。肉の姿も無様だったが、初めての獲物だったので、親戚や近くの知人に配る(^_^; 季節的にも未だ脂は乗ってなかったが、若いだけに肉が柔らかく、美味しく頂きました。
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NoTitle 

やりましたね おめでとうございます
しし鍋で舌つずみですか
よだれが出そうです
  • posted by siyou110 
  • URL 
  • 2013.11/17 21:35分 
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NoTitle 

いや、殺生は好きではないので複雑な想いです。
  • posted by  
  • URL 
  • 2013.11/17 23:37分 
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